2013年9月27日金曜日

ボランツーリズム in 落合楼村上

NPOサプライズさんが主催の伊豆天城湯ヶ島温泉旅館『落合楼村上』さんでボランツーリズムに参加してきました。

落合楼村上さんは国登録有形文化財指定、良質の建材をふんだんに使った贅沢なつくり旅館になります。
そんな、高級な旅館を掃除をしたら、その対価として1泊2食を体感できる(無料です。)という落合楼村上さんとNPOサプライズさんの粋なはからいにより始まった企画です。今回で4回目ということでした。

自分のお小遣いだと中々泊まれない旅館、掃除を通して昔の良質な建材や細工に生で触れることができることはぼくにとってはありがたいことです。

清掃前に落合楼村上さんから建築のご説明が1時間程度ありました。

建築は、昭和の8年から12年まで5年掛けて施工されたそうです。


互い違いにクロスしている階段が特徴です。


ウズラの鳥の羽の模様に似ている『うずら木』という木目ができているということから、この材は屋久杉になるみたいです。今では、採れない建材。とても貴重な材料ですね。


長い廊下も印象的です。
窓に使われているガラスは、手吹き円筒法で作られているガラスです。歪んで見えるのが特徴的なガラス。国内ではもう生産されていないそうです。
オーナーの村上さんからは、「みなさんにもこのガラスを拭いてもらいます。もう手に入らないガラスです。(笑)」と笑いが起きました。


ここは、大広間。夜には、宴会をさせて頂いたところです。
名前は、『紫檀の間』
床柱に使われている柱の紫檀からきています。
この紫檀は、台湾から持ち込まれたそうです。表面は彫刻が施されていています。紫檀はカンナでも歯が立たない硬い木材でとても成長が遅い木です。100年で直径が3cmしか成長しない木材だそうです。
そして、ここの「紫檀の間』は2階。下の宴会場と通し柱で繋がっています。
とても貴重な材だということが分かります。


床の間の床板に使われているのは、ケヤキの1枚板、厚さは1寸。
ケヤキと言う材は反りや曲がりが出やすい暴れやすい材質です。1枚板でこれだけの大きさで真っ平らになっているのがとても貴重で珍しいそうです。
職人さんに、どうやって製造したかを聞いたところ、厚く切り出してから、歪みが出たら削るとという作業を何度も繰り返して30年。一人の職人さんだけでは材料は完成しなかったことが多いはずです。昭和初期の職人さんは先輩方が作った材で家を建ててた。自分の生きている間に物事が完結することが少なかったはず。次の世代へ仕事を受け渡す、戦前の職人さんは、次の世代のために仕事をしていたんですね。
今の時代は中々難しいところですね。


障子には、組子細工が色々な絵柄で各所に使われています。



組子細工の仕組みも説明して頂きました。


照明器具も今では見れないデザイン。


鉄で作られている、鉄瓦。
とても、珍しいです。


一通り、案内をしてもらい、みんなで手分けして掃除です。
昔の貴重な材に実際に触れられるのは、贅沢なことです。
ただ、どれも貴重な材料。緊張しながら作業を進めます。


掃除が終わると、宴会の始まりです。
ここからは、「お客様です。落合楼村上のおもてなしを堪能ください。」というオーナーの粋なはからいには感動致します。
掃除だけで、温泉とお食事を頂けるのは、申し訳ないぐらいです。


2次会はラウンジで、オーナーの村上さんもご一緒してくれました。
伊豆産のサツマイモで造られた『桂楓』の芋焼酎を頂きました。
これ、おいしいです。

参加者のみなさんと交流がもてるのもこのボランツーリズムの魅力になります。


翌日の朝、小雨が降る中、周辺を散策しました。


透き通る水が流れる川に橋。


自然に囲まれたここは、心が落ち着きます。


雨で濡れたコケや石は風情が出ます。
雨で良かったと感じる時です。




今回の、『ボランツーリズム in 落合楼村上』に始めて参加させて頂きました。すばらしい体験をさせて頂きました。
掃除を通して良質な建材や細工に触れられ、その後にはここの旅館のおもてなしも堪能できる、そして参加者と交流が持てる。
良い事ずくめでした。



NPOサプライズさん http://kage.i-ra.jp/
落合楼村上さん http://www.ochiairou.com/

ナインスケッチ http://9sketch.com/






2013年9月18日水曜日

エフベースさんのモデルハウスの雑木の庭 〜 動画 〜

エクステリアワークさんが動画を作ってくれました。




エフベースさんのホームページはhttp://fbase.jp/
ナインスケッチのホームページはhttp://9sketch.com/

2013年9月15日日曜日

安曇野の屋敷林

屋敷林と言うと、富山県の砺波平野散居村が有名だと思いますが、安曇野の地にも点々と今も屋敷林が残っています。

この写真の地は、『蔵久』というかりんとう屋さん。一部は、今でも住居としても利用されています。以前は、酒蔵として運営されていたみたいです。
屋敷は、1810年の建築で平成17年には国の有形文化財に指定されています。



屋敷林の樹種は、杉やヒノキが中心で構成されていて、


外周を巡る堀も水路として顕在しています。



屋敷林の廻りは水田で囲まれています。
田植えの時期は水面も見え、稲穂を刈り取る頃には黄金色に染まり、屋敷林をバックにその時期時期で違った色合いを見せる水田とのコントラストは美しいものだと思います。

屋敷林には、色々な利用目的がありましたが、1番は冬の冷たい季節風から家を守るために存在していたものだと思います。
冬の防風林だけでなく、夏は涼しいのです。屋敷林が太陽熱を直接地面に当てず、木陰を作ってくれます。そこで冷やされた空気が風として屋敷の中へと運んでくれます。冬も夏も過ごしやすい住まいを屋敷林が作ってくれていました。

杉やひのきの材は、建築材としても利用され、落ち葉は、囲炉裏などの燃料になり、灰は畑や庭の肥料ともなっていました。

正に昔は、暮らしていく上で建物と屋敷林がセットだったのです。
砺波平野の人は屋敷林のことを『カイニョ』と呼び、「屋敷は売ってもカイニョは売るな!」と言って代々、屋敷林を守ったそうです。
家より外にある屋敷林が大切だったことが分かります。


中から見ると、今では、屋敷林を借景に手前に庭を作っています。
涼しい風が抜ける座敷で庭を眺めながらのお茶は格別でした。


ここからは、古い建築をご紹介。


築200年を超えた母屋。








建築も見応え十分です。


そして、周辺では、お墓と林がセットにありました。


ここでもです。
ご先祖も守るのは林なんですね。
大切なものやひとを守るのは、木々たちなんです。



現代の家では高気密、高断熱のつくりが主流ですが、屋敷林の考えを活かした庭と建物が一体となった敷地全体での住まいつくりを見直してもいいと思います。
現代に、中々屋敷林をもってくるのは難しいと思います。
これからの庭には、やはり雑木の庭。
雑木の涼しげな感じは一般住宅にも合いますし、冬や夏の日射しをコントロールできる力もあると思います。それも、もっと効果的にするには、南だけでなく屋敷林のように北や西面にも雑木の庭があれば効果的です。そのためにも建築と同時に庭や外構の計画が必要だと思います。



ナインスケッチのホームページは、http://9sketch.com/





2013年9月14日土曜日

浜松市東区中郡町 外構完成現場

表札の位置、アプローチの取り方と植栽の配置を考えてプランニングしました。

門袖いわゆる塀は無くし、植栽をアプローチ左右に配置しました。
樹木に合わして表札は簡単に自然素材の御影石を2本建てて表札を取り付けました。

その表札の位置は玄関ドア正面にし階段アポローチは斜めから入るようにし、斜めにすることで生まれるスペースに植栽を植え付けました。

斜めにアプローチすることで玄関ドアが直接見えません。
ドアが万が一開いていても中まで見えなく、視線をずらしてくれます。

樹木の間を抜けていくアプローチでは、コンクリートや大谷石に映る木陰が楽しめます。

下草と砂利で足下を仕上げ、砂利の色や形、下草の花な緑も楽しめます。

樹木が育てばもっと見た目も良くなり、石材も古びて樹木との相性もよくなるでしょう。


日が経つと寂れるのではなく、日に日に良くなる素材選びもプランナーとしての責務だと思います。


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2013年9月6日金曜日

安曇野のカフェ巡り  〜雑木の魅力〜


この夏の安曇野の旅で訪れた喫茶店『ガルニ』は、雑木の林に囲まれた、自然の優しさを感じるお店でした。


主役は、雑木林と言ったような佇まい。
雑木の中に遠慮して建物が建っているようにも思えます。


車は、コナラや赤松の間に止めます。
正に、緑の屋根(カーポート)ですね。木陰で車内の温度があがらずうれしいです。


僕の愛車、黄色いカングーは道端に駐車。
雑木林バックにカングーもいい感じ。と自己満足です。


店内からも、緑が眺められ、癒されますね。


テラスからは、もっと気持ちいいです。


建物際の高木がしっかりと木陰を作ってくれています。
テラス前の土の温度もあがらず輻射熱も抑えらていることがまた、気持ちよく過ごせるのでしょう。


廻りを散策すると、ありました!コナラの赤ちゃんが。
木々の間からの木漏れ日を浴びて成長していくのでしょう。
そして、いずれまた、僕たちに癒しを与えてくれることになると思います。


そして、場所は変わり、こちらは絵本美術館の『森のおうち』
こちらも、自然の雑木林を活かしたアプローチになっています。
木々の間を抜けていくのは気持ちよく感じます。


ここでも、喫茶コーナーでコーヒーを頂きました。
雑木の緑が本当に気持ちよく感じます。


ウッドデッキに出ると、雑木がもたらしてくれた木陰ができています。
木陰が揺れるのを眺めているのも癒されます。日々の忙しさも忘れさせてくれます。
一般住宅でもウッドデッキを作るなら、樹木とセットで考えるべきですね。
この場所で樹木がないと、木陰が無いと、と思うと暑くて外に出たくなくなります。


雑木の木は葉っぱだけでなく、幹の動きを見るのも楽しいです。
1本1本曲がり方や傾きが違います。


ここでも、高木の下に木漏れ日を浴びて成長してく苗木が埋もれています。
優しい光だけで成長する樹木は線が細く、優しさを感じる樹形になっています。

一般宅の庭作りでもなるべくこのように、高・中・低木の階層的に樹木の配置を決めていくことが、自然な雑木の庭になり、返って管理のしやすい庭になるのでしょう。


安曇野の雑木林のカフェを廻って思うのは、やはり雑木の木は僕たちに癒しや心地よさを与えてくれるのだと感じました。ここに雑木林があるからたくさんの人が集まるのだと。
また、いつも思っているのですが、心地良いなと感じるのは、自然の中に溢れていて、建物の中より外にあるのだなと、再認識しました。
建物本体の事も大切ですが、外回りの事も考えながら住まいを考えることが大切で、むしろ外回りから建築を考えてもいいのではないでしょうか?!
まだまだ、勉強しなければならない事はたくさんありますが、雑木の木々が持っている力を活かしながら住まいを提案していけるようにがんばります。



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2013年9月3日火曜日

ランドマークプランニング20周年 〜 お茶会 〜

今年の2月まで在籍していた、ランドマークプランニングが20周年を迎えました。おめでとうございます。(独立して半年経つのか〜とも思いました。)

ランドマークプランニングは外構や造園だけでなく、建築の提案もしています。もともとはBOSSも外構や造園の提案から仕事を始めていたこともあり、建築を外部から考える、周辺環境を利用しながらその土地をの特徴を活かしながら建築を提案していくことをコンセプトにしています。
ぼくの今の考え方の原点とも言えるところです。数多くのことをBOSSから学んだなと改めて感じています。BOSSには、感謝しております。

今回は、会社を興して20年。BOSSの集大成ともいえる建築が丁度、この時期に完成したということで、完成現場で見学会を兼ねてのお茶会があるということで、招かれて、お邪魔させて頂きました。
建物とガレージが調和しているところがBOSSっぽい?!プランニングかな。
業者さんや関係者の方もたくさんいらしていました。

この建物は、建物のコア部分に水廻りを集結し、回廊式なワンルームの間取りの平屋になっております。写真がうまく撮れずにすみません。
こちらを参照してください。http://landmark3473.hamazo.tv/e4750384.html

アプローチ


直線のラインを敷地全体に広げるのは、きれいですね。


中は、大勢の方で賑わっています。
ダウンライトや間接照明を中心にした照明計画が印象的です。
夜は、もっときれいに見えるのでしょうね。
収納の面材もキッチンハウスでトータルにコーディネートしたそうです。

トイレも落ち着いた雰囲気です。

RC柱が連続して並ぶのがまた印象的です。

そして、お茶席。
20周年をお茶会と兼ねるのがまた、BOSSらしいというところでしょうか。
お茶のおもてなしを十分に堪能させていただきました。
ありがとうございました。



自分は、ランドマークプランニングの時は、建物の提案させて頂いておりましたが、今は、独立して外構、造園のみをご提案させて頂いております。
建築を提案するときに外構造園が大切、むしろ外部や周辺環境や土地の形状を活かした提案が大切なこと。というのをBOSSから教わりました。
ぼくは、その外構、造園をもっともっと突き詰めて、多くの建築家やお施主様と一緒になって住まいを提案できたらと思っております。



ランドマークプランニングのホームページは、http://www.landmark3473.co.jp/
ランドマークプランニングのブログは、http://landmark3473.hamazo.tv/

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